株式を学ぶ

【成長株発掘法】CAN SLIM

ウィリアム・J・オニールが解説した大化け銘柄発掘法を紹介!

基礎

いつ買うか

株は価格が上昇中に買うべきで、下落中に買うべきではない。
増し玉をするなら、最初に買った価格よりもさらに上がったときにのみ買うべきであって、最初に買った価格よりも下がったときに買うナンピンをしてはならない。

株を買うならその年の高値近辺で買うべきであり、価格が下がって安く思えるときに買ってはならない。
つまり、比較的高くなった株を買うべきで、最安値を付けた株を買うのではない。

損小利大

小さな損失のうちに素早く株を損切ることを常に心がけるべきであり、株価が回復するのを待ったりしてはならない。

何を見るか

企業の簿価や配当金やPER(株価収益率)などを気にするのはほどほどにし、代わりに収益増加率、株価、出来高の動きなどのすでに証明されている重要な要因に目を向け、そしてその企業がその専門分野で他社よりも優れた製品を持ち最高収益を上げているかどうかを考えるべきである。

マーケットに関するニュースレターをいくつも購読したり、投資相談などのサービスと契約をしたりしない。
そして、アナリストによる提言に影響されたりしてはならない。
彼らは結局のところ、個人的な意見を語っているだけだし、間違えたことを言っていることが多いからだ。

チャートの読解に精通しなければならない。
チャートはプロには欠かせないツールであるにもかかわらず、素人は難しいとか重要性がないなどと言って取り合わない傾向にある。

重要なチャートパターン

最も多いチャートパターン「取っ手付きカップ」

最も重要な株価パターンの一つに、カップを横から見たような形をしている「取っ手付きカップ」。

このパターンは七週間から長いもので65週間かけて形成されるが、だいたいは3~6カ月ほどの期間で作られる。
このパターンの高値(カップの頂点)から安値(カップの底)の株価調整幅は、12~15%から33%である。
どのようなパターンでも、強いパターンには必ず、ベースパターンが形成される前に、明確でしっかりとした株価の上昇トレンドがあるものだ。
その最初の上昇トレンドで株価が少なくとも30%上昇したかどうかをまず見極め、出来高の増加なども、上昇トレンドのどこかで発生していたかを確かめる。

ダブルボトム型

底が二つあるダブルボトム型の株価パターンは、アルファベットの「W」に似ている。

取っ手付きカップほど多くはないが、それでも頻繁に現れる。「W」の二つ目の底が一つ目の底と同じ水準になるか、1~2ポイントほど明らかに下回る(たいていは下回る)ことが重要で、これによって弱い株主が振るい落とされる。
二つ目の底が一つ目の底を下回らないと、ダマシや不完全なダブルボトム型となる。

ダブルボトムにも取っ手が形成されることがあるが、これは必須ではない。

ピボットポイント(手がかり)

出来高の変化に注目

株価が適切な取っ手付きカップの株価パターンを形成し、その後上向きになって買いポイントまで上昇することを、ジェシー・リバモアは「ピボットポイント」とか「最も安い位置の抵抗線」と呼んだ。

出来高の急増

もう一つ、目の肥えたチャーチストが手がかりにするのが、日足や週足チャートで発生する出来高の急増。

安値で生じる薄商い

適切に形成されたベースの場合、底部分で1~2週間、そして取っ手部分の後半数週間の安値の時期に、出来高が劇的に減少。
これは、株がすべて売り尽くされて市場に新たに入ってくる株がほとんどないことを意味。

機関投資家による買い集めが進んでいる健全な銘柄はこの現象は発生。
株価の収束(日足または週足チャートで終値がほぼ同じこと)および要所での薄商いは、好材料。

成長株発掘のキーワード

  • C=Current Quarterly Earnings――当期四半期のEPS(一株当たり利益)と売り上げ
  • A=Annual Earnings Increases――年間の収益増加(大きく成長している銘柄を探す)
  • N=Newer Companies, New Products, New Management, New Highs Off Properly Formed Bases――新興企業、新製品、新経営陣、正しいベースを抜けて新高値
  • S=Supply and Demand――株式の需要と供給(重要ポイントで株式需要が高いこと)
  • L=Leader or Laggard――主導銘柄か停滞銘柄か(あなたの株は?)
  • I=Institutional Sponsorship――機関投資家による保有
  • M=Market Direction――株式市場の動向(見極め方)

C(Current Quarterly Earnings=当期四半期のEPSと売り上げ)

株価の急成長には必ず劇的にEPS増加。

株を買うときは、当四半期(最新の決算が発表された四半期)のEPSが前年同期比で、大きな伸び率を示している銘柄を選ばなければならない。
企業のEPSは、季節性による変動の影響を排除するために、直前の四半期ではなく前年の同期四半期と比べること。
つまり、3月が期限の四半期のEPSなら、直前の12月が期限の四半期と比べるのではなく、前年の同じ3月が期限の四半期と比べることで、より正確な評価ができるのである。

次にEPS増加に加えて売り上げが増加した企業を探す。

2四半期連続でEPS増加率が減少したときは注意。同業他社の銘柄を確認。当期四半期のEPS(一株当たり利益)と売り上げ。EPSが18%以上上昇していること。
上昇率は大きければ大きいほど良いが、さらに最近の四半期のどこかの時点で、加速的に上昇していることが必須。
同様に、四半期売り上げも加速的に上昇しているか、25%以上上昇しているとGood。

A(Annual Earnings Increases=年間EPSの増加)――大きく成長している銘柄を探す

過去3年間のEPSの安定性を確かめる。

銘柄選択で最も重要視するべきなのはPERではなく、EPSの変化率が著しく増加しているか減少しているか。

次に、ROEが高い銘柄を探す。

年間の収益増加。過去3年間、毎年大きな収益増加(25%以上)を続け、ROE(株主資本利益率)は17%以上(理想は25~50%)。

N(Newer Companies, New Products, New Management, New Highs Off Properly Formed Bases=新興企業、新製品、新経営陣、正しい株価ベースを抜けて新高値)

重要な新製品や新サービスを生み出した企業、または経営陣が新しく変わったり業界内の基礎条件が著しく改善し、利益を伸ばした企業を探す。
そのような銘柄の株価がきちんとした正しいベース形成の揉み合いパターンから抜け出るまさにそのときに、出来高の増加を伴って新高値に近づいたり実際に新高値を付けた銘柄を買う。

株式市場における驚きの「大いなる矛盾」とは、株価が高すぎてリスクが高そうに見える銘柄はさらに値上がりし、株価が低く割安に見える銘柄はさらに値下がりする傾向にある。

新製品、新経営陣、新高値。新製品や新サービス、新経営陣、あるいは産業状況に見られた新たな変化などを探す。何よりも重要なのは、正しく形成されたベースから抜け出て新高値を付け始めた銘柄を買うこと。

S(Supply and Demand=株式の需要と供給)――重要なポイントで株式の需要が高いこと

日常的な商品の価格はほとんどすべて需要と供給によって決められている。

株式の供給量による違い(株を大きく上昇させるには、かなり多くの買いでの出来高、つまり需要が必要)。
小型株は加速的に上昇する一方で値下がりもそれだけ速い。

発行済み株式数の多い企業のほうが株価の動きが鈍くなる理由は、需要と供給だけではない。
基本的にそのような企業というのは組織体制が古く、成長の速度も衰えている。
要は大きくなりすぎて動きが鈍っているのである。

近年は大きなファンドが相当の資金力を持っているため、一流の大企業の株でも中小企業とほぼ同じくらいの速さで値上がりする可能性を秘めている。

管理人ではなく起業家精神に富む経営陣を選ぶ

たいていは大企業の経営陣が自社株を大量に保有しているということはない。

過度の株式分割には注意。

過度の株式分割は供給量が一気に増えるため、値動きの重い「大資本」の企業状態を本来よりも早く招く結果になりかねない。

公開市場で自社株買いをしている企業を探す。

公開市場で長期間かけて継続的に自社株を買っている企業というのは見込みのある企業である(自社株を10%保有していれば相当な量である)。
これはほとんどすべての企業について言えることで、特にCAN-SLIMの基準を満たしている成長中の中小企業ならばなおさらである。自社株を買うという行為は、流通する株式数を減らすだけでなく、企業が今後の売り上げや収益の改善を見込んでいることを暗示している。

総資本に対する負債比率の低い企業が望ましい。

適切な株式数の銘柄を見つけたら、その企業の総資本のうち長期負債や社債が占める割合はどのくらいかを確認。
一般には、負債の比率が低いほど安全で優良な企業である。
金利が高くなったり深刻な不景気が訪れると、負債率が高い企業はEPSに大きな打撃を受ける。
負債の多い(=高いレバレッジの)企業はおおむね、低品質でハイリスクとみなされる。

需要と供給を見極める。

ある銘柄の需要と供給を知る最善策は、日々の出来高を観察すること。
一般的に、株価が一時的に下落するとき、出来高の減少が伴っていれば、大きな売り圧力がすべて出尽くしたことを示している。
逆に株価上昇時に出来高の増加が伴っていれば、一般投資家ではなく機関投資家による買いが入ったことを示している。

株式の需要と供給(重要ポイントで株式の需要が高いこと)。現代のニューエコノミーにおいては、総資本の規模に制限はない。ただし、CAN-SLIMのすべてのルールに適合していることが必須条件である。適切に形成されたベースから抜け出るときに出来高が増加する銘柄を探すのだ。

L(Leader or Laggard=主導銘柄か、停滞銘柄か)――あなたの株は?

業界内で上位二~三銘柄を狙う。

その業界における上位一~三銘柄は、残りの企業がまったく振るわないときでも、信じられないような成長を見せることがある。

共振株には注意。

共振株とは、主導銘柄のおこぼれをもらうために買われる同じ業界内の別の銘柄のこと。
だがそのような企業の利益は、主導銘柄のそれと比較するとたいてい見劣りする。
株価は主導銘柄に「共振」して上昇しようとするが、主導銘柄ほどの成功を収めることない。

停滞株にも注意。

停滞株に投資するのは、たとえそれが興味をそそるほどの安値に見えても、利益を生み出すことはない。
マーケットを牽引する主導銘柄を探し、そういった株からのみ買い銘柄を選択するのだ。
そして買値から8%下落した持ち株は、損失を出している停滞株とみなして、大きな痛手を被る前に損切る。

マーケットを牽引する主導銘柄を買い、停滞銘柄は避ける。
特定の分野や地域で首位を行く企業の株を買う。

I(Institutional Sponsorship=機関投資家による保有)

株価を押し上げるには大きな需要(=買い)が必要。
株式市場において最大の需要源となるのは間違いなく機関投資家(投資信託、年金基金、ヘッジファンド、保険会社、大規模な投資顧問会社、銀行の信託部門、国家機関、慈善施設、教育機関など)たちが日々のマーケットを動かす主な原動力となっている。

平均以上の投資成績を残している機関投資家が少なくとも数社は保有している銘柄で、さらに最近の四半期で機関投資家の数が増えた銘柄を買い銘柄の条件。

機関投資家による保有。
機関投資家による買いが増加している銘柄を買うこと、そして少なくとも最近の投資成績がトップの投資信託マネジャー1~2人が買っている銘柄を選ぶことである。さらに、経営陣が自社株を所有している企業を探すと良い。

M(Market Direction=株式市場の方向)――見極め方

マーケットの方向を知る

マーケットの方向性を判断する最善の方法は、主要な平均株価3~4種類の日足チャートで価格と出来高が日々どのように変化しているかを注意深く観察し続けて、チャートの示すマーケットの方向を読み取ることである。

マーケット全体の出来高が前日よりも増加したのに株価指数は失速して動かない(前日の上昇に比べて勢いが衰えた)という現象が起こる。私はこれを、「株価の上昇を伴わない出来高の増加」と呼んでいる。その日の平均株価が下げて引ける必要はないが、ほとんどの場合では下げて引ける。機関投資家による株式の大量売り、つまり「売り抜け」の状態を明確に示すものである。株価平均のその日の高値と安値の価格差が、場合によっては前日よりも少し大きくなることもある。

マーケットの転換期

マーケットの転換期を見つけるためには、平均株価をいくつか確認して大きなダイバージェンス(乖離)が起こっていないかを観察。

上げ相場が何年か続いたあとにマーケットを牽引していた個別銘柄の大多数が異常な動きを見せ始めたら、市場が転換期を迎えていると確信してよいだろう。

強気相場は最初の二年が儲けどき。
大金を儲ける絶好のチャンスは、だいたい新しい強気相場が始まってから最初の1~2年に訪れる。
このときに現れる市場のサインを見逃さずに、できるだけ多くの利益を得る必要がある。

損切りの必要性

マーケット全体の方向を知る重要性はいくら強調しても足りない。
ポートフォリオで33%の損失を出すと、トントンに戻すためにはそこから50%の利益が必要になる。
例えば、10,000ドルのポートフォリオが6666ドルに目減り(33%の下落)すると、そこから3333ドルの利益(50%の上昇)を出さないと始まりの地点にすら回復できない。

重要視しないことも

売られ過ぎや買われ過ぎを示す指標にはほとんど注目しない。
長年の経験から学んだ知識のほうが、ありとあらゆる指標を使いこなす専門家の意見や理論よりも、ずっと貴重なのである。

市場の将来の動きを予測したり言い当てることが株式市場の熟練者への道ではない。
過去数週間で実際に市場で何が起こって、現在は何が起こっているかを知って理解することが正しい道。

株式市場の方向。日々の平均株価と出来高の動き、および個々の主導銘柄の動きを正確に読み取り、マーケット全体の方向性を判断する方法を学ぶこと。これにより勝ち組に入れるか、それとも負け組で終わるのかが決まる。常にマーケットの動きを把握することが重要。マーケットを知らずして利益を出すことはできない。