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【米銀行破綻】今後のショックに警戒?!

米銀行の相次ぐ破綻

シルバーゲート銀行

2023年3月8日、暗号資産に特化したシルバーゲート銀行が破綻した。
同銀の総資産は約120億ドル(約1.6兆円)、総預金が63億ドル。


暗号資産の大手取引所であったFTXの破綻と同時期に顧客によって多くの預金が引き出され、株価の急落も重なったことで、さらに預金引き出しが加速し、銀行業務を清算することに。

シリコンバレー銀行

2023年3月10日、カリフォルニア州を拠点に主にスタートアップ企業向け融資を行う銀行のシリコンバレー銀行が経営破綻した。
同銀の総資産は約2,000億ドル(約27兆円)、総預金が1,700億ドルで、全米16位。


同社の破綻は、銀行の破綻としては2008年の金融危機時に破綻したワシントン・ミューチュアル以来の規模となった。

シリコンバレー銀行の破綻は、シリコンバレー銀行の経営を不安視されて預金が大量に引き出しされ、取り付け騒ぎが起きたことによる。
大量に預金が引き出されても預かっているお金を返すだけだと考えるかもしれないが、預金の多くは貸付や運用して利益を出していて、特にSVBは運用の割合が高く、米国の急激な利上げによって、米国債を中心とした有価証券の価値が急激に下がっていたところ、大量の預金が引き出されたため、価値が下がった(含み損)国債を売るしかなかった。

シリコンバレー銀行の顧客であるスタートアップは、金利の引き上げによって新たな資金調達に苦戦し、シリコンバレー銀行の口座から資金の引き上げが相次いだ。想定を超える預金の引き出しに直面したSVBは、やむなく価値が下がった資産を売却し、18億ドルの損失が発生。債権は満期まで保有すると額面の価値は保たれるが、取り付け騒ぎが起きると満期前に売却(現金化)する必要がでてきてしまい、損失が発生してしまうことが原因。

シグネチャー銀行

2023年3月12日、暗号資産関連企業との取引で知られるシグネチャー・バンクが破綻した。
同銀の総資産は約1,100億ドル(約15兆円)で、総預金が880億ドルは全米29位。

シリコンバレー銀行が取り付け騒ぎで破綻すると、シグネチャー銀行からも預金流出が加速。経営破綻し、米連邦預金保険公社(FDIC)の公的管理下に。

3行の破綻が与える影響

米財務省、連邦準備制度理事会(FRB)、連邦預金保険公社(FDIC)は12日に「預金者は完全に保護される」とした共同声明を発表。また、納税者は破綻による損失を一切負担する必要がないとして、金融システムへの不安が広がることを防ごうとしている。

3行の破綻は、金利上昇に弱い業界である暗号資産やスタートアップ業界であり、偏った経営による部分もあるため、すぐさま金融危機には直結する可能性は低い。

日本の銀行も米国債の評価損が発生しているが、現時点で取り付け騒ぎが起きるとは考えづらい。しかし、米国の影響を受けるため、米国の注視が必要。

過去の破綻

米最大の銀行破綻

アメリカの銀行の過去最大の破綻は、2008年9月、貯蓄金融機ワシントン・ミューチュアルの破綻で、同銀の総資産は約3,000億ドル(当時の為替レートで約33兆円)。

ワシントン・ミューチュアルは、住宅ローン販売で急成長したが、サブプライム(低所得者向け高金利型)ローン関連の損失処理が遅れ、多額の評価損から経営が不安視されていたところでリーマン・ブラザーズが破綻し、資金の引き上げ=預金の引き出し=取り付け騒ぎが起こってしまった。

ワシントン・ミューチュアルの預金や約2,200カ所の支店などは19億ドルで米金融大手JPモルガン・チェースに譲渡された。

米史上最大企業の破綻

リーマン・ショックは、1850年に創立された名門投資銀行であるリーマンブラザーズがアメリカの住宅市場の悪化によってサブプライムローン危機がきっかけとなり、2008年9月15日に経営破綻し、連鎖的に世界金融危機が発生。

総資産約6000億ドル(約64兆円)というアメリカ史上最大の企業倒産となり、世界連鎖的な信用収縮による金融危機を招くことに繋がった。

リーマン・ショックを境に世界的な経済の冷え込みから消費の落ち込み、金融不安で各種通貨から急速なドルの下落により相対的に円高が進み、日本の輸出産業に大きなダメージが広がり、結果的に日本経済の景気後退にも繋がっていった。

予兆・前兆

パリバ・ショックとは、2007年8月、フランスの大手銀行BNPパリバが、サブプライムローン関連の証券化商品に買い手がいなくなり、世界中の投資家からの多くの解約(現金化)に対応することが困難となり、投資ファンドの解約を凍結した。世界のマーケットが一時的にパニック、その後世界金融危機のきっかけとなった。

銀行は預金を運用することで利益を上げており、住宅ローンや国債など一定期間資金が拘束されるものが含まれるため、信用リスクが発生し、短期間に大量に預金が引き出されてしまうと取り付け騒ぎが起きる。
それは、2007年・2008年の破綻も、2023年の破綻も同様。

ショックへの警戒

出典:TradeBeginners.com

NYダウの動きを見ると、パリバ・ショックの後にすぐ株価が下がったわけではなく、1年以上経過した後のリーマン・ショックの時に下がっている。
NYダウは、高値14,195ドルから底値6,466ドルまでの期間が1年6か月、値幅で7,729ドル、54%の下落。

日経平均株価は、12,214円から6,994円まで下落し、値幅で5,220円、42%の下落。
ショックには時間差があり、世界的な危機の際はインデックスは半値程度まで落ち込む可能性があることは覚えておいた方が良い。

まとめ